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大地震への抵抗:強度型と靭性型

例え話でわかりやすく説明します

私達の周りには様々な建物があり、知らず知らずのうちにそれらを利用しています。

自分が住んでいるお家はもちろん、 通っている学校の校舎、働いているオフィスビル、あるいは駅ビル、ショッピングをする施設。。
これらは当たり前ではありますが地震が来ても大丈夫なように耐震設計されています。

しかしもし、想定もしないような大きな地震が来たらどうなるのでしょうか。
やっぱり壊れてしまうのでしょうか。

そのような、大地震に対する、建物の耐震設計のコンセプトとして「強度型」と「靭性(じんせい)型」というものがあります。

「強度型」 と 「靭性型」。。

「強度型はなんとなく分かるけど靭性型ってなんスか(・・)。
    そもそも靭性なんて初めて聞いたッス」

はいはい。もうちょっと丁寧に聞きましょうね(^^;)。
ではそれらの正確な意味は後回しにして、まずは例え話をしてみましょう。

それらを「せんべい」に例えてお話します


ここに、普通のせんべいと、湿気(しけ)ったせんべいがあったとします。 買ってきたばっかりのせんべいと、こたつの上に出しっぱなしにしたせいで湿気ってしまったせんべいです。

湿気ったせんべい。ほったらかしたのは誰でしょうか。やっぱりズボラなお父さんでしょうか。 まったくもう、お父さんったらテキトーなんだから、というママのグチが聞こえそうです。



せんべいはパキッという食感が命。湿気ってしまってはもう食べごろとは言えません。ザンネンながらゴミ箱直行でしょう。




さて、この2つのせんべい。食べごろサイズにするために手で割ったとします。

まずは普通のせんべい。
コチラ、力を入れてもなかなか割れませんが、あるとき一瞬でパキッと2つに割れてしまいます。



次は湿気ったせんべい。

コチラを割ろうとすると、すぐにグニャッと曲がり始めます。
手がくっつくほど曲がります。どんだけ曲がんねん、ってカンジです

しかしそんな風に曲がりはするものの、さっきの普通のせんべいと違って、なかなか2つにちぎれません。湿気って水分を吸っているがゆえです。

何度もグニャグニャとやった挙句、やっと2つにちぎれました。
ふう、てこずらせやがって。

さて、この2つを整理すると以下です。

普通のせんべい・・・なかなか曲がらないが、ある時一気にパキッと2つに割れる
湿気ったせんべい・・・すぐに曲がり始めるが、なかなか2つにはちぎれない

これが先ほど出てきた「強度型」と「靭性型」に相当します。
普通のせんべいが「強度型」。湿気ったせんべいが「靭性型」です。靭性(じんせい)とは「粘りがある」というような意味です。


大地震に対して、1つめのコンセプト「強度型」では、「とにかく建物を強くして大地震だろうが壊れないようにすればいいじゃん」という方法です。

これはカンタンに思いつく方法でもあります。
しかしこの方法での弱点は「壊れるときはもろい」ということです。
さっきの普通のせんべいです。力を入れてもなかなか曲がらないのですがある時、一気にパキッと行ってしまいます。
よってこの方法とする場合は、とにかく強くして、パキッと行かないようにしておく必要があります

さて、もう一つの方法、「靭性型」、湿気ったせんべいです。

この場合、建物は大地震の場合、比較的カンタンに「曲がり」始めます。 まあ、カンタンに曲がると言ってもさっきの湿気ったせんべいとは違います。ケタ違いです。

しかし、曲がりはするものの、さっきの湿気ったせんべいと同じ、なかなかちぎれることはありません。
柱がパキッと2つに折れたりすることはないのです。
大地震が過ぎ去るまで粘ってくれるのです。


先ほどの普通のせんべい=強度型は壊れてはいけませんから強度を可能な限り上げておく必要があります。

しかし湿気ったせんべい=「靭性型」は、詳細は略しますが比較的カンタンな工夫によりそれを成し遂げることができ、経済的に行えます。

少し乱暴に、悪い表現で言うならば。。。

■強度型はただ単に強くするばっかりで
知恵が働かないタイプ

■靭性型は賢くポイントを押さえた
スマートタイプ



。。。となります。



まあこれは単なるたとえであり、別に強度型が靭性型に劣っているわけではありません。


実際の建物では主にRC造建物は「強度型」、鉄骨造は「靭性型」のコンセプトとなっています。



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