ルーブル美術館 逆さピラミッド
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地下コンコースに突きささった、ガラスの「シャンデリア」 I・M・ペイ / ピーター・ライス with R.F.R. / パリ
Inverted Pyramid / I.M.Pei / Peter Rice with R.F.R. / Paris
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逆さピラミッド3
エントランスピラミッド
エントランス
ガラスピラミッド

ダン・ブラウンの大ヒットミステリー:ダ・ヴィンチ・コード の舞台となったパリのルーブル美術館。エントランスの ガラスピラミッドが有名ですが、 その手前にはシャンデリアのように美しい逆さのガラスピラミッドが地下に突き刺さっています。

■概要

このガラスピラミッドは、構造的に分離された2つの部分、すなわちピラミッド「底面」に相当する、 ほとんどフラットな屋根面と、 下方に突き出る逆さピラミッド部分より構成されています。

構造体としては、ガラスそのものと、 相互のガラスパネルを接合するキャスティング金物、 及びガラスを定位置に保持するケーブル構造体より構成されています。

■屋根面:ピラミッド「底面」

上面は、雨水排水のため非常にわずかにピラミッド状の勾配をもった屋根ガラス面 (図1)と、 それを補強する格子状の、 いわゆる張弦梁状のケーブルガーダーより構成されています。(図2)

本ガラスの上は基本的に人や車などの重量物が載らないようになっており(万一の荷重は考慮)、 非常に繊細な構造体となっています。

■下部逆さピラミッド部:ガラスは「構造体」

下部ピラミッド部は、まずダイヤ型:ひし形をした小さな各ガラスパネルが、その4頂点を、十字型をしたキャスティング (鋳物)金物により隣のガラスパネルと接合されています。つまりひとつのキャスティングは4枚のガラスパネルを接合しています。 (写真2)

これにより逆ピラミッドが構成されています。 (図4)

ガラスの重量はこの金物を通して上のガラスパネルへと伝えられ、最終的には天井面を構成するRC構造体 で支えられています。 すなわちガラスパネル自身が、その重量を引張力で上方へ伝達する構造体となっています。

これだけだと、ガラスは斜めになってるため外側へはらもうとします。これを防ぐため、 今にも切れそうなほど細いワイヤーがガラス中央をつかんでいます。(図5)

このワイヤーはピラミッド中央に浮く計8本のフライング・ストラット(空中に浮かぶ束) へ留められています。ストラット自身も、ケーブルでRC構造体から吊られています。 (写真3)(写真4) (図3)

■外界から守られた「シャンデリア」:ピーターライスの「遺産」

この下部ピラミッド部は、屋根により外界から遮断されているため、 普通、建築設計で考慮する風圧力やその他の外的荷重を考える 必要が全くありません。

よって単にその自重のみで設計すればよいので、 非常にスレンダー、繊細な、ある意味極限的な構造となっています。

また、先に完成した同じ設計者による地上のピラミッドに比べ、 ガラス相互の接合方法、ケーブル構造などで格段に進歩、 リファインされています。

さらには、ガラスそのものが非常にキレイであり、 地下コンコースへ光を洪水のように降り注ぐ 輝くシャンデリアとして機能しています。 (写真1) (写真5)

世に「ガラス建築」は無数にありますが、 ピーターライスの「遺産」である この逆さピラミッドは、構造的、美的観点から、 まさにそのピラミッドの頂点ではないかと思われます。

逆さピラミッドの構成

図1. わずかにピラミッド状の
屋根ガラス

図2. 屋根ガラスを補強する
格子状のケーブルガーダー

図3. 「フライング・ストラット」と
吊りケーブル

図4. ひし型のガラスによる
「逆さピラミッド」

図5. ピラミッドの断面
ガラスはナナメなので外へ膨らむ(左)
フライングストラットからのワイヤーでガラスをつかむ(右)

ピ−ター・ライスについてはこちら >>

関連リンク

R.F.R.

ピーターライスが設立し、本ピラミッドを構造設計した、パリの精鋭構造技術者集団

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ピーター・ライス の最大の功績の一つである、DPG工法 -ガラスの四隅に穴あけしてサッシュなしで止め、 さらにガラス自重はガラスそのもので伝達させる- について、 ライス自身が執筆した、 大変貴重で重要な、バイブルのような本。

本工法を始めて採用したパリのラ・ヴィレット公園の温室について解説しています。 強く!お勧めします!

ちなみにDPGとはDot Point Glazing (ドット・ポイント・グレージング)の略。(こちらのページを参照)

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Web
Archstructure.net





'06/02/08  更新
'04/09  upload

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