キャンセル

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今日はちょっと細かい、小ネタ、テクニックです
「キャンセル」と題して送ります


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下記のような橋があったとします。

カーブ床が外側だけを吊られたもの。
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まあ、こんなのでもいいです↓
こちらは直線桁を2本の支柱から中央を吊った場合。
例題なのであまり細かいことはツッコまないでください(^^;)

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さて、これらの橋ではタワーは桁の内側に引っ張られ、曲げモーメントが生じてしまいます

ex103.png

曲げモーメントは断面を食ってしまい、非効率的です。
断面がどんどん上がってお金が掛かってしまいます。


これを、ほとんど追加部材なしに、まあ全部とは言いませんがモーメントを減らすテクニックがあります。

どうやって?早く教えてよ! ・o・)ノ
はいはい、教えるからちょっと待ってよ(^^;)



これのタワーのディテールを考えます。
まあタワーはわかりやすいよう四角形断面、boxだったとします

普通、吊りケーブルはタワーにどういう位置に取り付けるでしょうか


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教科書的にはコチラ↑。
左図がタワー正面、右は横から見たコバの面=道路正面から見たものとすると、コバの面ではケーブルはタワーの中心、重心(緑の線)の位置に取り付けます。


それをこのようにしてみます。
ケーブルのタワーへの取り付け位置を、タワーの外側=ケーブルが引っ張られるのと逆側にズラします。

ex106.png

なぜこんなことをするかと言うと。。。
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このような状態で、ある吊り点に注目すると、ナナメ下方向のケーブル引張力Tは、タテヨコの力、V,Hに分けることが出来ます。

このとき水平成分Hがタワーに時計回り方向の曲げモーメントを生じさせる訳です。(MH)
ここで吊り点を反対側、図では外側にズラしておくと、鉛直成分Vがタワー重心とe、ズレているわけですから、この力はMHと反対向き、つまりMHを減らす方向=反時計回り方向の曲げモーメントMe=Veを生みます。

これによってタワーに生じるMHを減らす=キャンセルさせることが出来ます。
まあMH全てとは言いませんが、ある程度の割合2~3割くらいはイケるんじゃないでしょうか。
応力30%オフ!今だけ!  (当社比)
個人の感想であり、効果を保証するものではありません


ex120.bmp

ここで、ケーブル取り付き位置をズラすのに、特に追加部材はいりませんでしょうから、つまりタダで、MHを減らすことが出来ます

スゴい!ちょっとズラすだけで。。タダで減らせるなんて!

今、既に存在しているVを使って、偏心曲げを意図的に生じさせるものです。
「立ってるものは親でも使え」なんてことわざがありますが、ここでは元々Vがそこにあるんだからムダにせず使えば?的なものです。

また、部材は重心に取り付ける、という常識、固定観念を疑ったもの、とも言えます。

タダで減らせるんだったら使わないと損です

知ってると役に立つ、けど知らない人には永久に分からない。。的なアイデア、テクニックです




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建築ですと上記のような案が考えられます。
吊材付きの庇の場合に、吊元の部分を梁の重心から上にズラした位置で止めます。

そうすると元々の応力は上図のAのようですが、偏心曲げでBが加算され、結果、Cのようにモーメントを減らすことが出来ます。




ex112.png


建築の場合、もう少し良くあるケースが、上図のように梁-柱のラーメン構造で柱のサイズが上下階で異なる場合です。
俗に「柱を絞る」と言います。
建物の外側などで、外側のラインを通しになるようにして、内側で幅を調整するものです。

このような場合、一般的にはズレによる応力は無視、ないものとして設計されますが、実際にはこれまで述べたことが起きます


ex113.png

上図で示すように柱の重心=緑の線は上下でズれ、上階の重量=軸力は下階では重心の外側を通りますから図のような反時計回り方向のモーメントMeが生じてしまいます。
これにより、柱、梁にそれぞれモーメントが生じてしまうでしょう。

ラーメン:梁ー柱の長期モーメント図は下図のようになりますから、上図のような追加モーメントが生じると、柱に対してはモーメントを減らす方向ですが、梁については逆に増やす方向ですので、梁をギリギリで設計した場合、アウト!になってしまう恐れがありますので注意が必要です




この部分の力の流れを考えてみると(下図)
上階からの軸力Vは、まず梁上端レベルでは内側に引き寄せられますから梁上端はVを引っ張っているといえます(引張=T)
逆に梁下端ではナナメになった力を真下(鉛直)方向へ押し戻しますから押していると言えます。(圧縮=C)

この2つ、TとCを考えるとこれらは偶力ですので、つまり梁は図のようなモーメントM Gを生じているということになります


今回はちょっと純粋な力学的なテクニックでした。
お勉強、ってカンジでちょっと色気なかったですね




「ごめ~ん今度の土曜、予定はいった~また今度ね~

デートのキャンセルほどツラいものはない。

俗に「また今度」と「幽霊」はない(出ない)、と言われます(泣)

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